親戚や友人が突然入院することになってしまうと、お見舞いをどうすればいいのか、咄嗟にわからなくなってしまいますよね。
渡したお見舞い封筒に失礼があれば、嫌な気持ちにさせてしまうかもしれないので、きちんとしたマナーは覚えておきたいところです。
気心知った仲だし、名前書かないで渡しちゃってもいいのかな?
表書きは名字だけでもいいの?
相手の名前書かないんだっけ…?
そこで、お見舞い封筒に名前書かないことは正解なのか、失礼にならないよう気をつける点はどこなのか、お見舞い封筒に関する色々な疑問を解消しましょう。
お見舞いの気持ちも大切ですが、失礼にならないようポイントを押さえ、相手の立場になって気を配れるよう心がけましょう。
お見舞い封筒に名前書かないのは不正解?
お見舞い封筒で一番迷うところは、表面に書く名前の書き方ですよね。
個人でお見舞いを渡す時はどのように書くのか、また複数人の場合はどうすればいいのでしょうか?
相手の名前は書かなくてはいいのかなど、疑問を解消していきましょう。
「お見舞」の書き方
もし表面に、自分でお見舞いの文字を書く時は、注意してください。
「お見舞い」は4文字で書かず、「御見舞」や「お見舞」と書きます。
その理由は、4文字で書くことは、死を連想させてしまう不吉な言葉とされているからです。
自分の名前はフルネームを書きましょう
お見舞い封筒表面は、「御見舞」を上部に書き、その下は自分のフルネームを書いてください。
直接渡すし、名前書かないでもいいんじゃないの?
名字だけでもいいのでは?
しかし、相手がお見舞いで渡したものを確認できるのは、退院して落ち着いてからになります。
貰ったお見舞い封筒をまとめて確認するため、名前の書いていない封筒があれば、誰から貰ったものなのかわからなくなってしまいます。
また、名字だけを書いても、同じ名字の人がいると、どちらから貰ったのかわからなくなってしまいますよね。
フルネームを丁寧に書くことで、相手が困ってしまうことはなくなりますので、きちんと書きましょう。
連名の場合
複数人で1つのお見舞いを用意した場合、封筒下部には全員の名前を書く必要があります。
しかし、あまり大人数だと封筒には収まりませんよね。
連名で名前を書く場合、封筒には3名までがいいとされています。
4名以上になる場合は、代表者の名前のみフルネームで書き、「外一同(ほかいちどう)」を名前の左側に書きます。
もしくは、代表者の名前は書かず、「社員一同」などと書くこともあります。
「外一同」や「有志一同」となると、誰からのお見舞いなのかわかりませんので、別紙に全員の名前を書き、お金と一緒に封筒へ入れておきましょう。
また、名前を書く順番は、右側から格上や年長者の順番です。
もし同級生や同僚で格差が無いなら、50音順で書いておくと、分かりやすくなります。
会社から渡す場合
会社から渡す場合は、右側に会社の正式名称(略さないもの)、その隣に社長のフルネームを書きます。
封筒の真ん中にくるようバランスよく、社名と名前を書かなければいけませんので、難しいかと思います。
その場合は、社長の名前が中心になるよう書き、社名は名前の右側に小さい文字で書くとバランス良くなりますので、試してみてください。
夫婦で渡す場合
お見舞いを渡す相手が、夫婦または家族でお世話になっている方へ渡す場合、夫婦連名にせず、夫の名前のみ代表者として書きます。
例えば、渡す相手が妻親族関係で、「夫の名前で書くと相手がわからないかもしれない…。」という場合でも、世帯主である夫の名前を書きましょう。
なぜなら、親戚での冠婚葬祭は、家単位で渡すのが基本だからです。
しかし、渡す相手が、夫婦お互いに友人関係であり、2人からのお見舞いとして渡したい場合は、夫婦連名で書いても大丈夫ですよ。
その場合は、夫のフルネームを右側に書き、妻は名前だけ左側に添える形が理想的です。
渡す相手の名前書かない
お見舞いで渡す封筒は、基本直接渡すものなので、相手の名前書かないのが正解です。
しかし、どうしても渡す相手の名前を書かなければならない場合は、お見舞い封筒が入る別封筒の表面に、名前を書いて渡してはいかがでしょうか。
中袋の書き方
中袋の表書きは、中央に金額を旧字体で縦書きしてください。
お見舞いでよく使われる旧字体の一覧は、下記になります。
1,000円 | 壱千円 |
3,000円 | 参千円 |
5,000円 | 伍千円 |
10,000円 | 壱萬円 |
30,000円 | 参萬円 |
50,000円 | 伍萬円 |
100,000円 | 壱拾萬円 |
例えば、3,000円封筒に入れるなら、中袋の表書きは「金参千円」と書きます。
「三千円」と普通の漢字で書く人も増えていますが、線を書き足されたり、不正に使われたりすることがあるかもしれません。
旧字の方が丁寧に見えますし、悪用されないためにも旧字で書きましょう。
頭に付ける「金」も、金額を書き足されないようにするために書くものですから、必ず書きましょう。
また、最後に「也」を付けるか迷うところですが、「也」は円より下の「銭(せん)」や「厘(りん)」があったころ、書き足されないために書いていたものです。
現在は「円」の単位しかありませんし、下に書き足されることはありませんので、「也」は付けても付けなくてもOKとされています。
中袋の裏には、住所とフルネームを左端に縦書きで書いてください。
中袋がある場合は、お見舞い封筒と別々になってしまうことも加味し、きちんとフルネームも書いておきましょう。
反対に、中袋がないお見舞い封筒であれば、表に自分のフルネームを書いていますので、裏には住所と金額を書いてください。
その場合、裏面左下に寄せて、住所と旧字体の金額を書きましょう。
封筒が可愛い柄で名前書けない時は?
お見舞い封筒でも色々なものが市販されており、中には花柄やカラフルな柄もありますよね。
表書きにどうしてもフルネームが書けない場合は、無理して書かず、裏に住所、フルネーム、金額を書いても問題はありません。
しかし、目上の人や年配者には、失礼と取られてしまうかもしれません。
花柄や可愛いお見舞い封筒を使うのは、友人や親戚に渡す場合、使うようにしましょう。
お見舞い封筒に入れる金額の相場
お見舞い封筒を渡すことになった時、渡している人はどれくらい包んでいるのかということも、気になってしまいますよね。
実際金額の相場はいくらぐらいなのか、まとめました。
しかし、下記にまとめた内容はあくまで相場になります。
近い親族や友人、上司など、関係者に相談した上で、金額を決めた方が無難ですから、あくまで参考程度にお読みください。
また、4、6、9の数字は、死、無、苦を連想させてしまう数字です。
お見舞い封筒に入れる金額は、これらの数字を避けましょう。
親族
親や兄弟、親族へのお見舞いの金額は、5,000円から10,000円が多いようです。
ここでのポイントは、「兄弟や姉妹で渡す金額を揃えておく」ということです。
何も相談せず決めてしまうと、親戚間で優劣を決める、きっかけになってしまうかもしれません。
金額はあくまで一般論ですから、両親や兄弟と相談した上で決めましょう。
友人や同僚
友人へのお見舞い金は、個人で渡す場合、3,000円から5,000円が相場です。
会社で有志を募って渡す場合は、1人3,000円が相場になります。
あまり高い金額を渡してしまうと、相手に気をつかわせてしまいますので、注意してください。
また、仲のいい友人であれば、かしこまった「お見舞金」で渡すより、お見舞いの品を「差し入れ」として渡した方が、相手も快く受け取ってくれるかもしれませんね。
上司や目上の人
「お見舞金」を渡すことは、「入院して、お金に困っているのでは?」という配慮から、渡す習わしになっています。
そのため、上司や目上の人に「お見舞金」を渡すことは失礼にあたりますので、代わりのお見舞品を渡すことが一般的です。
もし上司や目上の人に、現金を包むのであれば、「御伺(おうかがい)」や「祈御全快(きごぜんかい)」と封筒に書いて渡すと、失礼にならないとされています。
お見舞品や「御伺」で包む金額の相場は、3,000円から1万円です。
会社関係の取引先
取引先の場合、相手との関係が関わってくるため、相場も10,000円から30,000円と変わってきます。
また、社長であれば20,000円から30,000円、担当者であれば10,000円から20,000円と、相手の立場でも相場は変わります。
取引先の場合は、個人で渡すのではなく、会社として渡すことになります。
個人の判断で決めるのではなく、必ず上司に相談した上で、指示を仰ぎましょう。
お見舞い封筒やお札の入れ方について
お見舞いの金額だけではなく、マナーも大切です。
お見舞の封筒はどういうものを選べばいいのか、新札は使ってもいいのか、お札の入れ方についてなど、知っておくと便利なものをまとめました。
お見舞い封筒
お見舞い封筒は熨斗(のし)が付いていないものを選びましょう。
熨斗は、結婚式や入学式など、お祝いの時に必要なものです。
入院はおめでたいことではありませんから、熨斗が付いていると失礼にあたります。
また、水引は「結び切り」のものを用意しましょう。
「結び切り」は、固く結ばれてほどけないことから、「同じことを繰り返さない」という意味が込められています。
そのため、何度も入院することがないよう願いを込めて、結び切りの水引で渡しましょう。
ちなみに「蝶結び」の水引は、何度でも結び直せることから、「何度でも起こっていいこと」に使われます。
出産や入学などで使われますので、覚えておきましょう。
書くペンと濃さ
表書きや中袋を書く時は、毛筆や筆ペンで、濃い黒で書きましょう。
入院は悲しい出来事なので、お葬式の香典と同じ、薄墨で書いてもいいのではと思われてしまいがちです。
しかし、香典に薄墨で書く理由は、「涙で墨が薄まってしまった」や「急なことで十分な墨を用意できなかった」という、悲しい意味で使われます。
入院で渡すお見舞い封筒は、「元気になってね」や「早く回復しますように」という意味が込められていますよね。
そのため、お見舞い封筒の文字は、薄墨で書くと失礼になりますので、濃墨で書きましょう。
お見舞い金に使うお札
新しいお札を使うと、「事前に準備していたのでは?」と思わせてしまうため、失礼と取られてしまうことがあります。
しかし、あまりぐちゃぐちゃになったお札は、受け取る側は気持ちがいいものではありませんよね。
そのため、入れるお札は、一度折った新札か、綺麗な状態の旧札を使うといいとされています。
お札の入れ方
お札の入れ方は、封筒から取り出した時、最初に肖像画が見えるようにします。
封筒から取り出した時、肖像画が下を向いていると、「病状が悪くなってしまう」という意味が込められてしまいます。
金額を把握しやすいという意味もありますが、「早く回復しますように」という願いも込めて、肖像画は上を向いている状態で、入れるようにしましょう。
まとめ
- お見舞い封筒の表面には、きちんとフルネームを書きましょう
- お見舞いは直接相手に渡すので、相手の名前書かないが正解
- 中袋が無い場合、表に名前が書いてあるので、裏は名前書かないでもOK
- お見舞いの金額は、相場を参考に、関係する人と相談して決めましょう
- 熨斗が無い、水引は結び切りの封筒を使いましょう
「封筒に名前書かないでも大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、きちんとフルネームで書くことで、渡す相手が困ってしまうことはなくなりますね。
失礼のないよう気を配ることも大切ですが、入院している人にとって、お見舞いに来てくれたことだけでもうれしい出来事です。
お見舞いに行って、少しでも楽しい時間を過ごしてもらえれば、「早く回復してほしい」という気持ちが伝わると思いますよ。
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